幻覚をみた精神科看護師

私の先輩であり、親友でもあるTさん。「自称ブタ」にも関わらずモテる男性。以前勤めていた病院からの仲で、その後転職した訪問看護でも仕事を共にした仲。

今日はそんなTさんの体験談。

Tさんの学生時代

Tさんは北国生まれ。看護専門学校を入学を機に田舎を出ました。しかし高校から付き合っていた彼女を地元に置いての進学で寂しい思いをしておりました。

ようやく夏休みも近くなり、久々に会える楽しみを抑えきれないTさん。しかし学生ゆえお金がないため、Tさんは友達から借りた原付で故郷を目指したのです。

故郷までの道のり

原付のスピードを考えると、地元までは1日半はかかります。しかし当時はまだ十代。彼女に会いたい気持ちの方が勝り、Tさんは不眠不休で原付を走らせます。

運転し始めて24時間近く経ったころ、さすがに眠気に襲われるように。しかし「あと3時間走れば地元」という所まで来ていたTさんは原付を走らせたのでした。

眠気との戦い。そしてヤツは現れた

眠気と戦いながらの運転。Tさんは目を疑うような光景と言葉に遭遇するのでした。イメージはこんな感じ↓↓↓

「お前、もうヤバイから寝たほうがいいよ」

??????

車が話しかけてきた

「気のせいだろうか。気のせいだろう。とりあえず先を急ごう」

「お前、もうヤバイから寝たほうがいいよ」

??

????

やっぱり車が喋った。

いや、気のせいだろう

お前、やばいから寝たほうがいいよ

「・・・・・」

確かにヤバイ。

すれ違う車やバイクが話しかけてくるのです。「お前は寝た方がいい」と。Tさんの話によると、ランプが眼に、バンパーが口になり、話しかけてきたのだとか。

さすがに幻覚が見えたことに焦ったTさん。すぐに近くのコンビニにバイクを泊め3時間ほど仮眠を取りました。その後、無事地元にたどり着いたのですが、その間幻覚は見なかったそうです。

幻覚妄想には意味がある

以前、ある大学の実習指導をしたとき、教授からこの言葉を聞きました。確かに幻覚妄想は一見不可解なのですが、よくよく聞いたうえで本人の成育歴、育った時代背景を調べると何らかの関連性や意味を見出せます。

そこには言葉にならない本人の思いがある。そんな話をTさんとしながら

「いやー、ほんとあそこで寝なかったら事故って死んでたかもね」

なんて話を今でもします。生存本能が幻覚妄想を使って説得してきた、なんて話もしました。

幻覚は精神症状のひとつ、すなわち「病気」と見られがちですが、歴史的にみると案外身近なものだった可能性もあるようです。

例えばアメリカ先住民の間では親族、特に配偶者と死別して1週間以内に「自分を呼ぶ声」を聞くと言われています。

また精神科医の原田誠一によると、人間はいくつかの条件(不安、孤立、不眠、過労)がそろえば人間は幻聴を聞くことがある、とか。

例えば冬山での遭難、無菌室での隔離治療など。感覚遮断実験(五感を遮断する実験)を行った被験者にも幻覚が起こったことが報告されてます。

幻覚をただの病気と考えるか、何かの意味を持ったものと考えるか。あなたはどっちですか?

見てしまう人びと:幻覚の脳科学 オリヴァー・サックス (著)

精神看護学[1] 精神看護の基礎 武井麻子

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする